プログラミング言語を学びたいと思っている人は多数存在しますが、「何から始めたらよいかわからず、なかなか踏み出せない」と躊躇している人も少なくないでしょう。プログラミング言語は普段目にすることはありませんし、難しそうなイメージもあります。
そこでこのコラムでは、プログラミング初心者は何から始めると効率的なのかを具体的に解説します。勉強方法やおすすめのプログラミング言語も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
プログラミングを学ぶ前に準備したいこと

この項目では、まずプログラミングを学び始める前にしておきたい準備について解説します。
プログラミングを学ぶ理由を自分の中ではっきりさせる
「プログラミングの勉強を始めたものの、長続きしなかった」といった事態を避けるために、まずプログラミングを学ぶ理由を明確にしておくことをおすすめします。
例えば、就職や転職のアピールポイントにしたい、ゲームやアプリを作りたい、収入アップにつなげたいなど、具体的な目標があるほど勉強を続けていくモチベーションを保ちやすいからです。
プログラミングを勉強する時間をどれぐらい確保できるか確認する
まったくの初心者状態からプログラミングの学習を始める場合、どの程度の時間や期間がかかるのかが把握できないことから、先行きが見えなくなって挫折してしまうこともあり得ます。そのため、まず学ぶ言語の習得時間の目安を知って、時間を確保してから勉強を始めることをおすすめします。
例えば、スクリプト言語のひとつであるPythonの基本を習得するには200時間から300時間を要するといわれています。300時間を1日2時間で割れば150日が必要です。また、仕事の都合などで2日に1回学習するとしたら約1年かかります。あるいは「半年で習得したい」といったように期限を先に考える場合、300時間を6ヶ月で割ると毎月50時間の学習が必要となります。
ただし、期限を先に考えると無理な学習プランを立ててしまいがちなため注意が必要です。「○○しなければならない」と使命感を持つことは悪くはありませんが、一日は24時間しかありません。そして、おそらく多くの人が、現状でも仕事や勉強、家の用事などで多くの時間を使っているはずであり、数ヶ月に分割するとはいえ200から300時間を確保するのは容易ではないでしょう。
そのため、新しい予定を入れ込むためには、まず普段の生活サイクルを振り返って、「現在△△に使っている時間をプログラミングの学習にあてる」など、具体的に時間を確保することを考えましょう。このように、ライフスタイルや目標の期限などを踏まえて学習を始めれば、最初に飛ばしすぎて続かなかったり、目標期限のぎりぎりになって深夜まで勉強したりすることなく、無理のないペースで学習を続けることができます。
習得を目指すプログラミング言語を選ぶ
習得を目指すプログラミング言語を先に決めておくことも重要です。これは、プログラミングスキルを身に付けた後に何をしたいかを踏まえて選択したほうが、せっかくの学習を生かしやすいからです。
例えば、人工知能開発や機械学習に関わりたいのであればPythonがおすすめですし、ゲーム開発や家電の組み込みソフト開発の現場で活躍したいのであればC言語がよいでしょう。このように、それぞれのプログラミング言語には適した用途があるので、何をしたいかを踏まえて言語を選ぶことをおすすめします。
また、プログラミング言語の習得を就職や転職に生かしたいのであれば、入りたい企業の求人情報を見てみましょう。エンジニアの募集欄にはほとんどの場合、必須スキルとして使用するプログラミング言語が明記されているからです。
さらにプログラミング言語を選ぶ際には社会的ニーズも確認しておきましょう。多くのニーズがある言語を身につければ活躍の場が選びやすくなります。
個人で開発できる環境を整える
学習するプログラミング言語を選択したら、次は開発のための環境を整える必要があります。開発環境としてはハードウェアとソフトウェアの両方が必要なので、以下で個別に解説します。
ハードウェア面で必要なもの
ハードウェアとして最低限必要なのはPCです。新規に買うのであれば、スペックとしてメモリは8GB以上、ストレージは256GB以上、CPUはIntelCorei5以上またはRyzen5以上を目安とするようおすすめします。
既存のPCを使う場合、上記の目安と比較して遜色なければまず使ってみて、不足があれば購入を検討してもよいでしょう。
ソフトウェア面で必要なもの
ハードウェアの用意ができたら、テキストエディタやIDE(統合開発環境)を導入しましょう。IDEはIntegrated Development Environmentの略語で、プログラミング言語を記述・編集・保存するテキストエディタの機能と、コンパイラやデバッガなどの機能をまとめたアプリケーションです。
過去にはテキストエディタとコンパイラ、デバッガは個別のソフトウェアとして扱われていましたが、近年はIDEだけで開発の大部分ができるようになっており、プログラミングの作業が大幅に効率化されています。
なお、IDEとは固有のアプリケーション名ではなくアプリケーションの種類であり、IDEはMicrosoftやApple、Unityなどの多くの企業がリリースしています。そのため、開発に使用するプログラミング言語や目的に合ったIDEを選定、導入しましょう。
また、IDEは無料で使えるものがある一方、月額数千円の支払いが発生するものもありますから、費用も含めて選別するようおすすめします。
主なプログラミングの勉強方法

ここからは、主なプログラミングの勉強法を解説します。なお、どのような勉強法を選ぶとしても当コラムの「プログラミングを勉強する時間をどれぐらい確保できるか確認する」で紹介したように、確保できる時間を踏まえた学習方法を選ぶことが重要です。無理な方法を選ぶと挫折の原因となりますから、ぜひ実現可能なプランを立ててください。
また、以下では独学で学習する場合とプログラミングスクールで学習する場合の2種類に大別し、メリット・デメリットを解説しますが、どちらを選択するかは個々の向き不向きを踏まえることをおすすめします。
独学でプログラミングを勉強する
プログラミングを学ぶうえでは、参考書や学習サイトを使って独学で勉強する方法があります。独学でプログラミングを勉強する際のメリット・デメリットを以下に記載します。
独学のメリット
独学で勉強するメリットは、比較的費用が掛からないこと、勉強する時間や場所を自分自身の都合にあわせられることなどです。
また、独学で学ぶ上ではわからないときや困ったとき、自分自身で問題解決の動きをしなければ学習が前に進みません。そのため自力で考える力や課題を解決していくスキルも鍛えられるでしょう。
独学のデメリット
独学でプログラミングを学ぶデメリットは、なんといってもモチベーションの維持が難しいことです。「今日は疲れたから明日にしよう」と柔軟な姿勢を持つことが重要な場合もありますが、何日も学習を先送りにするとそのまま挫折してしまう可能性もあります。そのため、学習の意欲を持ち続けることが何よりも重要です。
また独学で学ぶ場合、プログラムをブラッシュアップし続けているスクールなどより効率が悪くなりがちで、時間がかかることもあります。さらに、内容を理解・習得できているか、ペース配分に問題がないか、といった点は独学の場合常に自己評価に頼るしかありません。そのため、重要な点の見落としが起きたり、特に問題はないのに自信が持てないといったネガティブな感情に陥ったりすることもあり得ます。
プログラミングスクールで勉強する
この項目では、プログラミングスクールで勉強する際のメリットやデメリットを解説します。
プログラミングスクールのメリット
プログラミングスクールは、体系的にプログラミングを学ぶことに役立ちます。基礎から学んで実技まで網羅しているスクールであれば、まずカリキュラムをこなすことで一通りのスキルが身につくはずです。
スクールでは教えることのプロから学べる点でも学びやすいですし、わからない点は相談できます。そもそも継続して存在するスクールなら、学ぶ人がつまずきやすいポイントをスクールや講師が把握しているため、つまずきにくいことも期待できます。
また、お金を払っていることや、講義の時間が決まっていることなどから、独学で学ぶより挫折しにくい点もスクールで学ぶ大きなメリットです。実際に足を運ぶリアルなスクールであれば、一緒に学ぶ仲間が存在することが刺激になりますし、同じものを学ぶ友人として人間関係が広がることもあります。
さらに、スクールによっては就職のサポートを期待できるところもあるので、就活の一環でプログラミングを学ぶのであれば過去の就職サポート実績も確認しておきましょう。
プログラミングスクールのデメリット
プログラミングスクールは、独学に比べると費用が掛かります。独学で参考書を買っても数万円あればかなり揃えられるでしょうが、スクールの受講料は数万円では済まない場合が多いです。そのため、スクールで勉強する場合、予算にあわせて選択することが重要です。
また、スクールで勉強する場合、決まった時間に受講する必要があるため、時間の自由度では独学に劣ります。とはいえ決まった時間に受講することで気分に左右されず学習が進みますから、意志の強さに自信がない人にとってはこの特徴はメリットでもあります。
さらにスクールの場合、あらかじめ決められたカリキュラムに沿って学んでいくため、カリキュラム以外に深めたい点がある場合は自力で学ぶことになります。また途中で違う内容を学びたいと思っても変更できないケースもあるため、事前に内容をしっかり把握してから受講を開始しましょう。
初心者がプログラミングを学ぶ上での注意点

ここからは、初心者がプログラミングを学ぶ上での注意点を記載します。ただし、スクールであれば困ったときに講師に頼ることもできるでしょうから、問題が放置されがちな独学で学ぶ人に重点を置きます。
学習目標(ハードル)を高くしすぎないようにする
プログラミングは日常生活で使わない言葉や知識を要求される分野なので、初心者にとってはおぼえることが多く、わかりにくいと感じる部分もあるでしょう。そのため、いきなり「販売されているレベルのゲームを作ろう」などハードルを上げすぎるのは好ましくありません。
目標が高すぎるとそこに到達しにくく、挫折につながりやすいため、まずは基礎を身につけることや初心者向けの課題をこなすことに専念すべきです。
実際にコードを書いて身につけるように意識する
独学でプログラミングの勉強をすると、知識の吸収が中心となるケースが見られます。しかし、プログラミングは実践的な取り組みをしなければ技能として習得できません。そのため、参考書などを読むだけでなく、実際にコードを書いて学ぶ時間も大切にしましょう。
頼れる人やサイトを見つけておく
独学でプログラミングを学んでいると、何らかの理由で行き詰まった時にリカバーする手段がなく、挫折につながりがちです。それを回避するには、自分よりもプログラミングの知識や経験がある人や、わかりやすさや細やかさなどに配慮したサイトを見つけておくとよいでしょう。
ひとりではわからないことも人に聞いてすぐ解決することは多いですし、何よりもわからないとき、困ったときに頼れる存在があると思うこと自体が挫折防止になります。
【目的別】初心者におすすめのプログラミング言語

ここからは、初心者におすすめのプログラミング言語を目的別に解説していきます。
プログラマーを目指す人が学ぶべきプログラミング言語
ひとくちにプログラマーといってもいくつかのタイプがあるため、ここではWebサイトの構築、アプリケーション開発、ゲーム開発の3つのジャンルに分けて、適したプログラミング言語を紹介します。
●Webサイトの構築に適したプログラミング言語
・PHP…Webサイト構築に広く利用されているため需要が多く、将来性も有望です。
・Ruby…直感的な操作がしやすく、日本人が開発していることから参考資料も多いため、初心者でも学習しやすい言語です。
・JavaScript…ブラウザ上で操作できることや、アニメーションに使えることなどから、サイトの快適性向上に役立ちます。
●アプリケーション開発に適したプログラミング言語
・Java…スマホアプリや大規模なシステム開発にも利用されるほど汎用性が高い言語です。
・C#…Webアプリやデスクトップアプリ、スマホアプリのほか、VRやAR、ゲーム開発にも利用されます。
●ゲーム開発に適したプログラミング言語
・C++…処理速度が速く、プログラミングサイズをコンパクトにできる言語です。
・C#…Webアプリやデスクトップアプリ、スマホアプリのほか、VRやAR、ゲーム開発にも利用されます。
システムエンジニアを目指す人が学ぶべきプログラミング言語
・Java…スマホアプリや大規模なシステム開発にも利用されるほど汎用性が高い言語です。
・PHP…Webサイト構築に広く利用されているため需要が多く、将来性も有望です。
・Ruby…直感的な操作がしやすく、日本人が開発しているため参考資料が多いため、初心者でも学習しやすい言語です。
・Python…構文がシンプルで読みやすいため、初心者にもおすすめです。AI開発やWebアプリ開発、数値計算など幅広い用途があります。
組み込みエンジニアを目指す人が学ぶべきプログラミング言語
・C…1972年に開発された歴史ある言語ですが、汎用性が高いため現在も広く利用されています。
・C++…処理速度が速く、プログラミングサイズをコンパクトにできる言語です。
・Java…スマホアプリや大規模なシステム開発にも利用されるほど汎用性が高い言語です。
・Visual Basic…Microsoftが開発した言語で、直感的に操作できる点や使いやすく覚えやすい点などが特徴です。
【まとめ】プログラミング初心者は何から始めるべきかを知ったうえで勉強を始めよう
プログラミングを学びたいと思っている人に向けて、何から始めると効率が良いのかを解説し、おすすめの勉強方法や代表的なプログラミング言語を紹介しました。
プログラミング言語を学ぶ際にはまず目的を明確にすることや、勉強する時間をしっかり確保することが重要です。また、目的にあったプログラミング言語を選ぶことや、開発に適した環境を整えることも欠かせません。 さらに、独学とプログラミングスクールのどちらで学ぶかは自分の個性を踏まえて選択することをおすすめします。途中で挫折することがないように、しっかりと準備して目的のプログラミング言語を身につけてください。