エンジニアにとって、資格は就職・転職・昇給などのアピール材料になるほか、取得に向けて学習することで業務に役立つ知識を得ることもできます。さらに自己肯定感の向上にも役立つなど、資格取得のメリットは非常に豊富です。
そこでこのコラムでは、エンジニアにおすすめの資格について詳しく解説します。
エンジニアに資格は必要?取得するメリットと役割
まず「エンジニアに資格は必要か?」という大前提について説明し、資格取得によって得られるメリットも解説します。
資格は「必須」ではないが、キャリア形成に有効
エンジニアとして働く上で、資格は必須ではありません。実際にエンジニアの求人情報を見ても、何らかの資格取得を必須条件とする案件はほぼ存在しません。(ただし、「保有が望ましい」と記載しているケースはあります)
しかし、エンジニアにとって資格を取得することや資格取得に向けて学ぶことは様々なメリットをもたらしてくれます。そのメリットは次項で詳しく解説します。
資格取得で得られる主なメリット
資格を取得する過程で、その分野の知識を体系的に習得できます。OJTでの学びは特定分野に偏りがちなので、全体を網羅的に学ぶ機会は非常に貴重です。また、資格は自身のスキルや知識レベルを客観的に証明する手段となります。知識量を客観的に説明することは難しいですが、資格は一定の知識を持っていることを裏付けてくれるからです。
また、就職や転職活動において、企業にアピールする材料になります。さらに、資格手当の支給がある企業では収入アップにもつながりますし、自主的な努力で資格取得した事実は評価向上に役立ちます。
エンジニア向け資格の種類
ここではエンジニア向けの資格を、国家資格、ベンダー資格、ベンダーニュートラル・民間資格に大別して解説します。
国家資格
国家資格は名称の通り国が認定する資格であり、経済産業省が所管する独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が運用しています。IT系の国家資格としては、情報処理技術者試験やITパスポートなどが代表的です。
これらの資格は、特定のベンダーに依存しない汎用的な知識を証明するものとして業界内で役立ちます。また、就職や転職などでアピールしやすい点も国家資格取得のメリットです。
ベンダー資格(特定企業の技術)
ベンダー資格は、特定の企業(ベンダー)が、自社の製品や技術に関する知識とスキルを認定する資格です。例えば、シスコシステムズ社の「CCNA」やオラクル社の「ORACLE MASTER」などがよく知られています。
これらの資格を取得すると、そのベンダーの製品や技術に関する専門性の高さを証明できます。実務に直結する実践的なスキルを問われることが多く、専門性の高いエンジニアを目指す上で有用です。
ベンダーニュートラル・民間資格
ベンダーニュートラル資格は、特定の企業や製品に依存しない技術に関する知識を認定する資格です。「LinuC」や「LPIC」といったLinux技術者認定試験などがこれにあたります。特定の製品ではなく、OSやプログラミング言語など、汎用性の高い技術に焦点を当てているのが特徴です。また、民間団体や企業が主催する資格もあります。
職種が決まっていない初心者におすすめの入門資格

この項目では、これからエンジニアを目指す初心者向けの資格を紹介します。
基本情報技術者試験
基本情報技術者試験は情報処理の基本知識と技能を証明する、ITエンジニアの登竜門的な資格です。出題内容は、統一モデリング言語やクラウド関連、AIやサイバーセキュリティ、UX/UIやマーケティング理論など幅広いので、受験に向けて学習することで体系的な知識が得られます。
国家資格であることから企業の評価を得やすいので、エンジニアとして目指す方向性が定まっていない方にもおすすめです。
ITパスポート
ITパスポート試験はITに関する基本的な知識を証明できる資格試験で、IT業界未経験者にもおすすめです。受験に向けて学習することで、情報セキュリティや情報モラル、企業コンプライアンスや経営戦略、財務や経理のほか、ITの基礎知識が身につきます。
国家資格のひとつですし、ITリテラシー全般の習得にも役立つので、営業職や事務職など非エンジニアにも人気があります。例年の合格率は50%前後なので簡単ではありませんが、しっかり学べば取得可能な水準です。
CIW Web Foundations
CIW(Certified Internet Web Professional)はアメリカのCertification Partner社が運営するIT関連の資格試験群です。国際資格なので海外企業と仕事をする際にも役立ちます。
CIW Web Foundationsは、Web関連の業務に特化した資格群で、インターネットビジネス、サイト開発、ネットワーク技術の3分野の初心者向けの資格で構成されています。受験資格が設定されていないので、ほかの資格取得や業務経歴によらず受験可能です。
【開発エンジニア】におすすめの資格
ここでは開発エンジニアに適した資格を紹介します。
応用情報技術者試験
応用情報技術者試験は、ITエンジニアとして高度な知識とスキルをもつことを証明する国家資格です。基本情報技術者試験の上位に位置づけられており、技術的な知識に加え、経営戦略やシステム監査など、幅広い知識が求められます。
合格率20%台の難易度が高い資格試験なので、自身の知識レベルを踏まえつつ計画的に学習する必要があります。
Javaプログラミング能力認定試験
Javaプログラミング能力認定試験はプログラミング言語Javaの基礎知識を問う試験です。基礎的な知識を問う3級、3級の内容を発展させた2級、上級者向けの1級があります。
試験に向けて学ぶことで、Javaの基礎から応用までの知識を体系的に習得可能です。また、2級や1級に挑めば、より複雑なJavaプログラムを開発できるエンジニアとして業務に役立つ知識が得られます。就職や転職活動においても、Javaスキルを証明する材料として有効です。
C言語プログラミング能力認定試験
C言語プログラミング能力認定試験はC言語を扱うスキルや知識を問う資格試験です。比較的初級向けの3級から、2級、1級と数字が小さくなるほど上級者向けになります。(ただし、1級は公式サイトに記載はあるものの、2024年以降実施されていないのでご注意ください)
C言語は今後も高い需要が見込まれているため、この資格を取得することは転職に有効ですし、職場内での評価基準アップにも役立ちます。
Ruby技術者認定試験
Ruby技術者認定試験はRubyベースのシステムを設計、開発、運用するエンジニアや、システム提案を行うコンサルタントなどのスキルレベルを問う試験です。基本技術を確認するシルバーと、Rubyの文法知識、クラスとオブジェクト、標準ライブラリの知識などについて高い技術をもつ人向けのゴールドがあります。
【インフラ・ネットワークエンジニア】におすすめの資格
ここでは、インフラ・ネットワークエンジニアにおすすめの資格5選を紹介します。
CCNA
CCNA(Cisco Certified Network Associate)はネットワーク技術者の登竜門的資格で、未経験者でも受験可能です。ネットワーク機器の提供で世界的に知られるシスコシステムズ社が運用する国際資格なので、海外の顧客の仕事をする際にもアピール材料になります。
この資格を取得するには、ネットワークやセキュリティの基礎知識、IPサービスやIPコネクティビティ、自動化に関するプログラミング知識などが求められます。
CCNP Enterprise
CCNP(Cisco Certified Network Professional)は、ネットワーク関連のプロ向けの資格です。世界的に有名なシスコシステムズ社が運用する国際資格なので、海外企業へのアピール材料としても有効です。
シスコ技術者認定の中でも上位に位置づけられる資格で、ネットワークエンジニアとして一定のキャリアを積んだ人におすすめします。
ネットワークスペシャリスト試験
ネットワークスペシャリスト試験は高度IT人材としての専門性があり、ネットワークやセキュリティなどを含む情報システムの企画や要件定義、開発や運用などを行う人向けの資格です。プロ向けで高難易度ですが、それだけに高い価値があります。
この資格を取得するには、TCP/IPやネットワーク構築、ネットワーク認証やセキュリティ、ネットワークの管理などの知識が必要です。
LPIC
LPIC(Linux Professional Institute Certification)は、Linux技術に関する国際的資格試験で、複数存在するLinux認定資格の中でもっとも認知度が高いと言われています。
レベルが1から3まで3段階存在しており、レベル1はLinuxの基本知識やコマンド操作、システム構成、レベル2はサーバーの構築・管理、ネットワーク設定、レベル3はセキュリティや仮想化のほか高度なトラブルシューティングが問われます。
LinuC
LinuCはLinux関連資格のひとつで、高い汎用性と実践的スキル習得を求められます。認定の責任元であるLPI本部はカナダにありますが、日本国内にライセンス取得した法人があるため、日本のビジネス環境に即した知識とスキルを問うことを特徴としています。
実務で役立つスキルと知識が体系化されているので、転職時のアピール材料としても有効です。
【データベースエンジニア】におすすめの資格
ここでは、データベースエンジニア向けの資格2選を紹介します。
データベーススペシャリスト試験
データベーススペシャリスト試験はデータベースエンジニア向けの資格試験です。国家資格のひとつですし、高難易度の試験であることから、取得していること自体が、エンジニアとしてのアピールポイントになります。
出題はコンピュータの基礎知識やシステム構成要素などの基礎的問題から、データベース設計やSQL、トランザクション処理やセキュリティなどの専門分野まで幅広い範囲におよびます。
ORACLE MASTER Silver / Gold DBA
ORACLE MASTERはデータベースで高いシェアをもつORACLEのスキルを問う資格試験です。データベースの基礎知識を問うBronzeから段階的にレベル設定されており、Silverはデータベースの運用担当者向け、Goldはデータベース管理者向けを想定しています。
Goldを取得すればデータベースエンジニアとしての市場価値を高めることができますし、国際的なキャリアにも活かせます。
【セキュリティエンジニア】におすすめの資格
この項目では、セキュリティエンジニア向けの資格4選を紹介します。
情報セキュリティマネジメント試験
情報セキュリティマネジメント試験(SG)は、情報セキュリティを実務で担当するエンジニア向けの国家資格です。取得に向けて学習することで、情報セキュリティに関する基礎知識や管理・対策のほか、関連法規や情報資産管理、リスクアセスメントなど、情報セキュリティに関する知識を習得できます。
合格率は例年70%台で、国家資格の中では比較的難易度が低いため、しっかり準備しておけば取得可能です。
情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)
情報処理安全確保支援士(SC)はセキュリティ対策をリードし、後進の育成もできるプロ向けの国家資格です。この試験に合格して登録すれば、情報系では唯一と言われる士業である「情報処理安全確保支援士」を名乗ることができます。
出題内容はテクノロジー系だけでなく、マネジメントやストラテジー(戦略)など多岐にわたります。ネットワーク、データベース、セキュリティ、システム開発、ソフトウェア開発など多岐に渡る知識が問われることもあり、情報セキュリティ関連の資格としては国内最上位に位置する資格試験です。
CISA
CISA(公認情報システム監査人)は、情報システムの監査、コントロール、セキュリティに関する知識とスキルを証明する国際的な資格です。セキュリティエンジニアの求人情報でも歓迎されることが多く、セキュリティ領域への挑戦を目指すエンジニアにおすすめします。
情報システムに関連する5年以上の実務経験が必要とされているので、そもそもプロ向けの資格です。合格率も50%程度と難易度は高いので、受験に向けて計画的な準備をすることをおすすめします。
CISSP
CISSP(Certified Information Systems Security Professional)は、国際的認知が高い情報セキュリティのプロフェッショナル認定資格です。試験内容は公表されていませんが、プロ向けの高難易度な資格として知られています。そのため、転職活動などではアピール材料として有効です。
【クラウドエンジニア】におすすめの資格
この項目では、クラウドエンジニア向けのおすすめ資格を紹介します。
AWS Solutions Architect – Associate
AWSはAmazon Web Servicesの略語でAmazonが提供するクラウドサービスです。AWSは世界的に高いシェアをもつので、企業での価値も高まっています。そのスキルを認定するAWS認定資格には多数の種類があります。
AWS Solutions Architect – Associateは、AWSに関する知識とスキルを認定するエントリークラス向けの資格です。深い実務経験は問われませんが、基本的なコーディング知識を習得している必要があります。
Professional Cloud Architect
Professional Cloud Architectは、Google Cloud Platform(GCP)を活用するスキルや、セキュリティ、データ分析、モニタリングなどの知識を問うベンダー資格です。
上級者向けの資格と位置付けられており、GCP初級者向けにはCloud Digital Leader、中級者向けにはAssociate Cloud Engineerがあるので、レベルを踏まえて受験することをおすすめします。
AZ-900 / AZ-104 など
AZ-900(Azure Fundamentals)やAZ-104(Azure Administrator Associate)は、Microsoft 社のクラウドサービスであるMicrosoft Azureに関する知識を認定する資格です。
AZ-900はAzureの基礎知識を問う入門レベル、AZ-104はAzure環境の管理や実装を行う中級レベルの方におすすめします。
まとめ

エンジニアにとって資格は必須ではありませんが、技術的知識の習得や専門分野の体系的理解を証明することに役立ちますし、実際に業務に役立つ知識も得られます。
また、資格を持っていることは、主体的に努力できることの証明にもなるため、キャリアアップや転職に有利です。これらのメリットを踏まえて、この機会に資格取得を検討してみてはいかがでしょうか。


