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ポータブルスキルとは?転職・キャリア自律の時代に求められる力を解説

IT/Web業界

近年「ポータブルスキル」という言葉に触れることが増えていますが、「正確な意味やその意義がわからない」という方も多いでしょう。

そこでこのコラムでは、ポータブルスキルについて解説します。転職やキャリア形成にも役立つ内容が多いので、ぜひ最後まで読んでください。

ポータブルスキルとは

ポータブルスキルとは、特定の業界や職種に限定されない汎用性の高いスキルのことです。

たとえば、業務を円滑に進めるための取り組み方や、社内外の人と円滑に仕事をするための関わり方、問題解決や意思決定の質を高める思考能力などがポータブルスキルに当たります。

エンジニアであればテクニカルスキルはもちろん必要ですが、変化が激しい現代において、ひとつの専門的な知識だけで長期的に活躍するのは困難です。そのため、ポータブルスキルを磨くことがビジネスパーソンにとって重要といわれるようになっています。

テクニカルスキルとの違い

テクニカルスキルとは、特定の業務に必要な専門的知識や技術を意味します。たとえば、エンジニアにとってのプログラミングスキルなどが代表的なテクニカルスキルです。このスキルはある局面で必須とされる反面、職種や業界が変わると通用しないことも多いです。

対してポータブルスキルは、コミュニケーション能力や問題解決能力などの汎用性の高い能力を意味します。テクニカルスキルは業界や職種ごとに限定されますが、ポータブルスキルはどこでも役立つので、ビジネス上の基礎的スキルとして歓迎されます。

アンポータブルスキルとの違い

アンポータブルスキルとは、ポータブルスキルとは逆に、持ち運びができないスキルのことです。特定の会社や業界でのみ通用する、専門性の高い知識や経験が該当します。

テクニカルスキルと似た面はありますが、テクニカルスキルは転職しても同じ業種であれば役立ちますが、特定の会社だけで用いられる慣習などに基づいたアンポータブルスキルは、転職すると全く役に立たないこともあります。

しかし、特定の会社で必須である以上、その職場では習得する必要があるため、アンポータブルスキルの価値が低いわけではありません。

なぜ今、ポータブルスキルが注目されているのか

近年は将来の予測が困難な「VUCA(Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性))」と呼ばれる時代だからこそ、汎用性の高さが求められる実情があります。

また、雇用されていてもキャリアの自律が求められる傾向も高まっていますし、転職へのネガティブなイメージも減り、多様な働き方が広がっています。

そんな時勢ですから、特定の環境でしか通用しないスキルだけで社会を渡っていくことは困難です。ポータブルスキルは、変化に適応しやすくキャリアの選択肢を拡大する鍵となることから、今、特に注目を集めています。

ポータブルスキルの構成要素

ポータブルスキルを「仕事の進め方」「人との関わり方」「思考能力」の3つに分けて解説します。

①仕事の進め方(ワークプロセス能力)

ここでは、仕事の進め方に分類されるポータブルスキルを解説します。

現状分析力

あらゆる仕事はまず現状を正確に把握することから始まります。このプロセスでは、情報収集能力や論理的な分析力が求められます。

特にエンジニアの場合、要件定義やリスクの把握、問題への対応など、様々な局面で正確な現状把握が不可欠です。

課題設定力

課題設定力とは、現状を把握した上で、取り組むべき課題を適切に設定する能力です。

このスキルがあれば現状と理想のギャップが認識できますから、その差を埋めるための具体的な方法も論じやすくなります。つまり、適切な課題設定はプロジェクト遂行の成否を左右すると言っても過言ではありません。

計画立案力

どのような課題に対するときも、場当たり的な行動は効率低下につながり、業務の遅延や失敗に直結します。一方で計画立案力があれば、担当業務をスムーズに進めることができますし、トラブルを防止しやすいため、品質向上にも貢献できます。

計画立案力は、ステップを明確にすることや、必要な期間・リソースを正確に見積もること、起こりうるトラブルを予測すること、それに備えることなどに分解できます。「計画が苦手」と思う人は、どの部分が苦手なのかを分析してみることをおすすめします。

実行・改善力

優れた計画があっても、実行されなければ成果は生まれません。そのため実行力は業務遂行に欠かせない力です。また、発生した問題に対処して改善する力もビジネスマンには欠かせません。結果を出すための工夫、より効率的な方法を模索し続ける姿勢が、この力を高めます。

変化への適応力(アダプタビリティ)

変化への適応力(アダプタビリティ)とは、予期せぬ状況や環境の変化に対応するスキルです。計画を柔軟に変更したり、必要に応じて新しいスキルを習得したりできれば、業務の質や速度も上がります。

現代はビジネス環境が絶えず変化しますから、当初の計画通りに進まないことも珍しくありません。アダプタビリティがあれば、予測できない状況に対応しやすいですし、問題への冷静な対応がしやすく、ダメージを最小化できます。

また、技術革新は頻繁に起きるため、エンジニアにとってこの力は特に重要です。

②人との関わり方(対人関係能力)

ここでは、組織内外の様々な人と関わるために役立つ力を解説します。

コミュニケーション能力

エンジニアの仕事は様々な人々との連携によって進められるため、コミュニケーション能力は必須です。

この能力は、円滑に対話することに加えて、相手の立場や状況を考慮することも求められます。仕様の確認や疑問点の解消など自分の目的を果たすことも重要ですが、相手に納得してもらうことも欠かせないので、相互に信頼関係を築くことも意識しなければなりません。

調整・交渉力

プロジェクトを進めるうえでは、調整や交渉が必要な局面もあります。その際、自分の要求を通しつつ、多方面の納得を得ることが重要です。

そのためには相手のニーズを理解する力や、「押す・引く」のバランスをリアルタイムで考える判断力、相手の要求に押し負けない胆力、妥協点に導くための話術などが求められます。

チームワーク

現代のプロジェクトは高度化・複雑化しているため、個々の能力だけでは達成できません。そのため、チーム全体で取り組むことが一般的です。

チームメンバーの素養や得意なことはさまざまですし、相性の問題も発生しますから、途中確認やアドバイスも欠かせません。何よりも重要なのは、チーム全体の成功を最優先に考えて行動することです。

リーダーシップ・フォロワーシップ

リーダーシップは、必ずしも特定の立場の人だけに求められるものではなく、メンバーの潜在能力を引き出し、自律的な行動を促す力も含まれます。また、集団においては先頭に立って牽引する力だけでなく、フォロワーシップも不可欠です。

適切なフォローは業務上のミス発生やスケジュールの遅延を防ぎますし、チームのモチベーション維持にも貢献します。

マネジメント・育成力

マネジメント力は、プロジェクトの進捗や品質を管理し、計画通りに業務を遂行させることに役立ちます。

一方の育成力はメンバーの強みや弱みを理解し、パフォーマンスを最大化するために欠かせないスキルです。そのためには、適切な業務分担や、定期的な指導やフィードバック、適性を踏まえたキャリアパスの支援などが必要です。

③思考能力(思考の質を高める力)

ここでは、業務の状況整理や本質の確認、問題解決などに役立つ思考力について解説します。

論理的思考(ロジカルシンキング)

論理的思考(ロジカルシンキング)は、情報の収集・分析、課題設定、計画立案、他者への説明などの土台となるので、エンジニアには欠かせないスキルです。

論理的思考ができれば、一見複雑な問題を要素に分解して因果関係を明確にすることができますし、原因特定や最適解を導き出すことも容易になります。

クリティカルシンキング

クリティカルシンキングとは、提示された情報や自分の思考などを客観視し、「前提は正しいか」を問い直して本質を見抜く思考力です。

クリティカルシンキングは単純に批判や否定をするのではなく、「質の高い判断にいたるための建設的な思考」を重視し、既存情報の信ぴょう性を確認する姿勢が重視されます。

マーケティング的思考(顧客視点)

マーケティング的思考は常に顧客のニーズや市場の動向を中心に据えて物事を考え、製品やサービスの価値を最大化しようとする思考形態です。

技術者は自分が開発するものの意味を顧客目線で考えることを常に求められます。この思考は、開発する機能の優先順位付けや、ユーザーエクスペリエンス(UX)の改善に繋がりますし、自社の利益にも直結します。

定量思考・データ分析

定量思考とは、物事を客観的な数値(データ)として捉え、統計的な手法を用いて分析するスキルです。人間はだれしも無意識のうちに感覚や経験則に頼っており、客観的視点に欠けることがあります。

しかし、定量思考を用いてデータ的な分析ができれば、それまでとは違ったアプローチができます。

企業内でのポータブルスキル活用シーン

ポータブルスキルは様々な場面で活用可能です。ここからは、そういった活用シーンの具体例をあげます。

中途採用でのスキル評価

中途採用では即戦力性が重視されるので、エンジニアであれば必ずテクニカルスキルが評価基準になります。しかし近年はテクニカルスキルだけでなくポータブルスキルを重視する企業が増えています。

ポータブルスキルは仕事への取り組み方や対人スキルを含むので、新たな環境でも活躍できる根拠になるからです。

これを踏まえて、中途採用に応募するエンジニアはテクニカルスキルだけでなく、ポータブルスキルもしっかりアピールしましょう。

研修体系の設計

ポータブルスキルの多くは研修による意識づけで強化できます。仕事への取り組み方や論理的思考、問題解決能力などが向上すれば組織の利益に繋がりますから、この点を踏まえて研修体系の設計に力を入れる企業が増えています。

近年は企業向けのポータブルスキル研修プログラムを提供しているところもあるので、外部研修を利用する傾向も見られます。

マネジメント育成の基準化

ポータブルスキルは、次世代のリーダーやマネージャーを育成するための選抜基準や育成テーマとしても活用可能です。

マネージャーには、チームを率いるリーダーシップやメンバーの育成力、部門間の利害を調整する交渉力などが求められます。そのため企業はマネジメント職にいる人の昇進・昇格基準にポータブルスキルを組み込むことで、客観的な評価ができます。

また、リーダーシップやマネジメント能力を強化するための研修を計画的に行うことで、将来の経営層や管理職を育成する方法の標準化・効率化も果たせます。

ポータブルスキルを効果的に鍛える方法

ここではポータブルスキルを鍛える具体的手段を解説します。

個人で磨く方法

ポータブルスキルは、日々の業務を通じて実践的に磨くことが可能です。そのためには、日常業務を漫然とこなす習慣を脱却し、「なぜこのやり方なのか」と振り返ることをおすすめします。

また、プロジェクトやタスクが終わるたびに、計画と実行のズレ、成功・失敗の要因、次に活かせる改善点などを言語化することも有効です。

さらに、論理的思考や定量思考などは体系的に学習することで基礎が作りやすくなります。身につきにくいと感じる点があれば研修プロジェクトなどに自発的に参加する、メンター・コーチングを活用するなど、有効な手段は多数存在します。

企業が育成する方法

変化の激しい環境下で利益を上げ続けるためには、企業として社員のポータブルスキル育成を支援することが重要です。

たとえば、厚生労働省のポータブルスキル研修資料や、それに基づいたツールの利用で、社員のスキルを把握すれば育成計画が立てやすくなります。また、外部研修・eラーニングの導入なども有効です。

さらに、評価制度にポータブルスキルを組み込むことで、従業員がスキル向上に取り組む動機づけをすることも推奨します。評価につながることが明確化されれば、OJTと連動させる仕組みができるので、従業員の本気度がアップします。

まとめ

ポータブルスキルとは、特定の業界や職種に依存しない「持ち運び可能なスキル」です。変化の激しい現代において、個人のキャリア自律と市場価値を高める上で不可欠な能力として扱われるようになっています。

エンジニアとして就職・転職する人にとっても重要なアピール材料となっていますから、ぜひこの機会に体系的に学ぶことや意識的に身につけることをおすすめします。