近年、ITやウェブサイトは生活に欠かせないものとなっていますから、それらを構成するためのプログラミングを学びたいと思っている人も数多く存在します。とはいえ、スクールなどでプログラミングを学ぶには費用もかかりますから、「できれば独学で学びたい」と思う人も多いでしょう。
そこでこのコラムでは、独学でプログラミングを学ぶことは可能なのかという疑問に答えつつ、具体的な取り組み方なども解説します。
プログラミングは独学で習得できる?
結論から言うと、プログラミングを独学で学習することは可能ですし、実際に独学でプログラミングを身につけた人は多数存在します。とはいえ、独学で学ぶ以外にもスクールなどを利用する方法があり、どちらにもメリットと注意点が存在します。
この項目以降でそれらの特徴を解説していきますので、プログラミング言語を選ぶ際には、ぜひ当コラムを最後まで読んでください。
プログラミングを独学で学習するメリット

この項目では、プログラミングを独学で学ぶことで得られるメリットを解説します。
費用がかからない
独学でプログラミングを学ぶ場合、スクールなどを利用するケースに比べると費用を抑えられるメリットがあります。近年はネット上にプログラミングを解説する記事や動画が多数あります。また、参考書などを買ったとしてもスクールに入学金や学費を払うより安く済むことが多いです。
ただし、職業に役立つようなプログラミングを習得するには、本を読むだけでなく、実践が必要です。そのため少なくともPCが必要ですから、所有していない場合は購入をおすすめします。
自分のペースで勉強できる
スクールで学ぶ場合、特定の時間に、特定の場所に行く必要があります。しかし、独学で学ぶのであれば、時間や場所の拘束はかなり少なくできます。
また、スクールではカリキュラムに沿って学びますが、独学であれば自信がないところに時間をかけることが可能ですし、詳しく知りたいことをいくらでも掘り下げることができるため、進むペースや学ぶ領域の配分も自由です。
プログラミングにおいて重要な問題解決能力が身につきやすい
独学でプログラミングを学んでいると、わからないこと、疑問に思ったことは、自力で調べたり考えたりしなければ解決しません。実はこの過程は、プログラミングをするうえで大きなプラスとなります。現実にプログラミングをする際には、目的や仕様をかなえるためにどうしたらよいのかを常に考えなければならないからです。
それを踏まえて、わからないことで悩むときにもその悩み自体がプラスになると認識して、ぜひ前向きに取り組んでください。
プログラミングを独学で学習する際の注意点
プログラミングを独学で学ぶ際には、メリットもありますが注意点も存在します。そのため、ぜひ始める前にこの項目を読んで、注意すべき点を知ったうえで学習に取り掛かることをおすすめします。
目標が明確でなければ挫折しやすい
プログラミングを始める際には、まず目標や目的を明確にすることをおすすめします。
ゼロからひとつの言語を習得するには、約300時間の学習が必要と言われており、300時間も学び続けるためには、目的意識がなければ挫折してしまうからです。
例えば、プログラミングを習得して就職や転職に生かしたい、といった目標があれば、行き詰ったときにも諦めずに努力できるでしょう。また、数ヶ月にわたってプログラミングを学ぶ中では、急な用事で予定した学習ができないこともあるでしょう。
1回や2回予定外のことがあっても前向きに取り組めばカバーできるでしょうが、目標や目的がないと、次第にペースが落ちて、挫折につながるリスクが上がります。
理解できない問題にぶつかったときに解決しづらい
独学で学んでいると、理解できない問題にぶつかったときに学習を進められなくなり、そのまま挫折してしまう、といったことが起こりがちです。
これを防ぐためには、まず複数の情報源をもっておくことをおすすめします。例えばAのサイトだけではわかりにくい記述も、ほかのサイトや参考書を併用することで理解しやすくなります。また、困ったときに相談できる相手を見つけておくことも有効です。
第三者の評価がない状況での勉強になるため間違った覚え方をする可能性がある
ひとりでプログラミングを学習する際には、理解の度合いや進め方を自力で判断するしかありません。そのため、間違いや不十分な理解があってもそれに気づかないままになってしまいがちです。
スクールに比べて効率的ではない傾向にある
プログラミングスクールには基本的にカリキュラムがあり、効率的に知識やスキルを習得できる仕組みが作られています。また、過去に人に教えてきた経験から、学ぶ人がつまずきやすいポイントもわかっていますし、わかりやすく教えるテクニックもあるでしょう。
一方、独学の場合学習方法から自力で検討しないといけないので、スクールで学ぶより効率が悪くなりがちです。
プログラミングを独学で学習するのに向いている人

この項目では、プログラミングを学ぶ際に独学が向いている人の特徴を記載します。
プログラミングを学ぶ理由・目的が明確な人
独学でプログラミングを学ぶ際には、モチベーションを維持できないと途中で挫折してしまうリスクが上がります。そしてそのモチベーションを支えるのは、プログラミングを学ぶ理由や目的が明確であることです。
ゼロからのプログラミング習得には300時間が目安といわれており、毎日3時間勉強しても100日かかることになります。数日であればともかく、何ヶ月も目的が不明瞭な勉強へのモチベーションを維持するのは、多くの人にとって困難です。
これを踏まえると、プログラミングを学ぶ理由や目的が明確でない人には、独学はお勧めできません。
試行錯誤が苦ではない人
スクールであれば、講師にわからない部分を聞くことができますが、独学の場合すぐに人に聞ける環境はありません。そのため、作ったプログラムがうまくいかない場合などは、試行錯誤しながら解決していくことになります。つまり、試行錯誤が苦になる人は独学でプログラミングを習得することに向いていません。
プログラミングという作業自体が試行錯誤を伴うものなので、プログラミングで食べていくと決めた場合は苦手と向き合ってみるのもいいかもしれません。
学習計画を立てるなどスケジュール管理が得意な人
独学の場合、学習計画を立てたり、スケジュール管理したりするのは勉強する人自身です。そのため、時間や日程、工程の管理が得意な人ほど独学に向いています。
プログラミングを学ぶタイムリミットが特に無い人
スクールであれば、決まった期間でプログラミングの知識やスキルを習得できるようカリキュラムが組まれています。
一方、独学の場合、学習内容を決めるのは自分自身です。そのため、教えることに特化し、商売として学習を提供しているスクールに比べるとどうしても無駄な時間ができがちですし、紆余曲折もあるでしょう。
これを踏まえると、できるだけ短期間でプログラミングを習得したいと思う人には独学はおすすめしません。
プログラミングを独学で学習する流れ

ここからは、プログラミングを独学で学習する流れを、準備段階から順を追って解説します。
①プログラミングを勉強する流れ(サイクル)をまず決める
プログラミングを独学で習得しようとする場合、まず勉強する流れ(サイクル)を決めることをおすすめします。当コラムが推奨するのは、まず目的や目標の明確化を行ったあと、学習するプログラミング言語を目的にあわせて選択、それからPCやツールなどの学習環境の構築を行ってから、具体的にコーディングに着手していくという流れです。
最初に目的や目標が必要な理由は当コラムの「プログラミングを独学で学習する際の注意点」の項目に記載していますので、ご参照ください。
次にプログラミング言語の選択ですが、プログラミング言語は数多く存在しており、それぞれに適した用途があります。例えば大規模なシステムに適したものや、ゲーム開発に向いたものが存在します。また、プログラミングに慣れない人にとって習得しやすいと言われている言語と、そうでない言語があります。そのため、個々の言語の用途や難易度を踏まえて言語選びを進めてください。
プログラミング言語については、当コラムの「プログラミングを独学で学習するのにおすすめの言語」の項目で紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
プログラミング言語を決めたら、PCなどの学習環境を整備しましょう。2024年8月現在でおすすめのスペックを以下に記載します。
・CPU:Corei5またはRyzen5以上
・メモリ:16GB以上
・ストレージ(SSD):500GB以上
※ただし、上記のスペックは目安であり、上記のスペックがなければプログラミングの学習ができないわけではありません。
②大まかな勉強時間の確保と計画を立てる
前の項目の準備ができたら、次に行うべきなのは勉強時間の確保とスケジュールを立てる作業です。
プログラミングの学習要素には、変数や演算子、制御構文や関数などの基礎知識が必要ですし、各言語の基礎知識や固有の文法を知る必要もあります。そしてプログラミング初心者がこれらの基礎を習得する目安は約300時間と言われています。
もちろん数値は目安であり、学習方法や理解度などで長くも短くもなることは知っておく必要がありますが、計画を立てる際にはやはり目安は役立ちます。
300時間は、毎日3時間勉強するなら100日かかります。つまり、数日努力すれば習得できる種類のものではないことを踏まえて、現実的な計画を立てましょう。多くの人が仕事や学業、家事や育児などで忙しいですから、根拠なく1日〇時間と決めても数ヶ月もの長期間にわたってそれを守れるとは思えません。そのため、「今○○にあてている時間をプログラミングの学習に使う」といったように具体的に時間を確保することをおすすめします。
③プログラミング学習の際の参考サイトを決める
独学でプログラミングを学習する人に向けて作られたサイトが複数ありますので、その中で代表的なものを紹介します。
おすすめサイト①Progate
「Progate」は、プログラミング初心者にも学びやすいように配慮してサイト作りを行っています。まず、必要な情報を直感的に把握しやすいように、「スライド学習」を採用している点が大きな特徴です。また、内容はイラストを中心とすることでわかりやすさを増しています。
さらに、Progateは自分のペースで学習しやすいことや、復習にも取り組みやすいことが意識されており、独学で学ぶ人に親切です。
プログラミングの入門から基本までを学ぶには課金が必要ですが、プログラミングに触れる初歩的なレッスンの一部は無料で利用可能なので、まずは無料の範囲で様子を見ることができます。
<h4>おすすめサイト②ドットインストール</h4>
「ドットインストール」は、「3分動画でマスターできるプログラミング学習サービス」というキャッチコピーで、手軽にプログラミングの学習が始められることをアピールしています。実際にすべてのレッスン動画が3分以内で作られており、スマートフォンでも視聴できるので、スキマ時間に学習を補強することも可能です。
また、ホームページやWebサービスの制作を実践できるので、知識を得るだけでなくプログラミングのスキル習得に役立ちます。
2024年8月現在、543のレッスンと8,220本の動画が提供されており、データ分析や機械学習など、学びたい分野を選択可能です。さらに、プレミアムレッスンを選択すると、現役エンジニアへの質問ができるので、独学にありがちな行き詰まりからの挫折が起きにくいメリットがあります。
おすすめサイト③Codecademy
「Codecademy」はプログラミングを学ぶための有料オンライン学習サイトです。日本語対応はしていませんが、プログラミング初心者にも理解しやすいように丁寧な解説が行われていますし、実践的な学習もできることを特徴としています。
また、ゲーム開発やデータサイエンス、Web開発など豊富なコースラインナップがあることや、直感的に使いやすいインターフェースも多くの人に評価されています。さらに、リアルタイムでフィードバックする機能があるため、間違いを即座に指摘されることで効果的に学ぶことができます。
プログラミングを独学で学習するのにおすすめの言語

この項目では、独学で学習する際におすすめのプログラミング言語4選を紹介します。
HTML/CSS
HTMLはHyperText Markup Languageの略語で、Webページを作るためのコーディング言語です。開始タグと終了タグで文章を囲む形で、Webページ上に表記する文章や構造を指定できます。
HTMLのタグは数多く存在しますが、見出しを定義する<h1>~<h6>や、段落を定義する<p>、箇条書きwのリスト作成に役立つ<ul>などもあります。
一方のCSSはCascading Style Sheetの略語です。文章を表すために使用するHTMLとは異なり、CSSは色や文字サイズの装飾に役立ちます。CSSはHTMLのように単体で使用するものではなく、HTMLと合わせて使用する点が特徴です。
Python
Pythonはコードが読みやすいことを特徴としているため、初心者にとって学びやすい言語です。AI開発に適した言語で、1991年にリリースされ30年以上も使われていますが、2024年現在も高い人気をもっています。また、ライブラリが大量に存在する点も使いやすさに寄与しています。
PHP
PHPはWeb開発に使用されることが多いスクリプト言語です。Webページの表示や内容を変化させる動的な表現を得意としています。コンパイルが不要なので開発の手間が少なく、スピーディーに仕上げることができます。
データベースとの連携がしやすいこともあって、ネット上の百科事典サービスや旅行の予約サイトなど、幅広い用途で利用されています。また、オープンソースで無料利用できますし、公式マニュアルも無料閲覧可能なため、初心者にも利用しやすい点もメリットです。
JavaScript
JavaScriptは、システム開発やWebサイトの開発などに使用されるプログラミング言語です。汎用性が高いうえに、ブラウザ上の動きを演出できるなどの特徴もあるため、PC向けサイトとスマートフォン向けサイトの両方で幅広く使用されています。
JavaScriptは広く普及しているので、利用できるライブラリやワークフレームが多いことでも知られています。
【まとめ】プログラミングは独学でも学べる!メリットと注意点を把握し学習方法を選ぼう
「プログラミングを独学で学ぶのはハードルが高い」と思う人は多いでしょう。しかし独学でプログラミングを習得することは可能ですし、費用を抑えやすく自分のペースで学べるなど、スクールで学ぶのとは異なるメリットがあります。
その一方で、モチベーションが維持できないと挫折しやすいことや、行き詰ってしまうなどの注意点もありますから、ぜひ当サイトを参考にして、リスクを減らしてから学習を始めてください。